気持ちのいい晴れた日、イスタンブールの新市街をそぞろ歩き。
いつもながらにぎやかなメインストリート。
休憩のためEDOさん(失礼!ここはお店であって、休憩所じゃないです!)のところで出会ってしまいました。
ギョンのバッグです。
あれ?このバッグ…。本格的な雰囲気じゃない!?
流行なのかわかりませんが、個性的なものを好むわたくしとしては、どうも最近バッグって買ってないんです。
そんな矢先ですから、個性的、それでいて高級レザーアイテムとくれば、どうしても手にしてみたくなります。
GONと書いてギョンと読むこのバッグ、革好きにはわかります、この高い品質。一見してわかるハンドメイドの手作り感の味が、一生モノの雰囲気を醸し出しています。
革本来の質感たっぷりに、がんがん使っても壊れそうにありません。
それでいて、ボタニカルを中心に細かい編みこみやアクセントで派手すぎずもなく、繊細で高級な意匠です。
いやホント。
だって、これってすべて美しい革のこしらえで、プリントでは一切ないのですよ!
この繊細さをご覧あれ!決して華奢ではありません。こまかい模様…。プリントじゃありませんぞ!
ね、ボタニック。シチュエーション選びませんね、このデザイン。こまかい模様は…。 プリントじゃありませんぞ!
これはユニセックスで使えるかな?大きさもいろいろありました。通勤でもいいですな。
中身は当然収納よろし。柄の生地もいい。もちろんトルコの生地ね。
財布やパスケースなんかもありました。おちついていい感じ。色バリも豊富ね。
さすがメイドイントルコ。いい仕事してますねえ。
工芸品の価値もあると思うけど、普段使いからお出かけにも堂々と使える感じ。やっぱりいいものほど使ってあげなくちゃね。
そこで決めました。どんな人が作ってるんだろう?行ってみなくては。
EDOのご主人のユロさんに、連れてってよと申し出(すみません!)、伺うことに!
工場はイスタンブールの郊外。
日本でいうところの下町ですか、子供たちが元気に路上で遊んでいます。
ドアを開くと、すぐに応接間件ショールーム。
いっぱい鞄が並んでいます。
ここで、ギョンのこと、いろいろお聞きしました。
今回ギョンの社長のエンギン アルタシュさんがご不在だったので、チーフスタッフのキャムランさんがお答えくださりました。
ギョンは1968年に創業した、革製品の製作会社ですが、もともとの前身が、有名ブランドのバッグや革製品を作っていました。
プロダクトとしてコーチをメインに、ダナキャラン、プラダ、ラルフローレン、一部のヴィトン、ティンバーランドの製作を行い、そのブランドの価値を高めるのに大きな貢献を果たしてきました。
品質の高さが評価され、会社も大きなものに変貌を遂げていきました。
ところが、各ブランドが世界的な販売および伴う生産ラインの変更で、中国など他国に製作を求めたため、経営が圧迫されてしまうことになりました。
2008年、結果会社は閉鎖され、エンギンさんもレザー製作から遠のくようになっていきました。
一生懸命いいものを作っていても、その評価はブランドの販売戦略によって作り手の意思は反映されない。こんな
業界の仕組みに嫌気がさし、離れていったのでした。
しかし、エンギンさんが名職人であることに変わりはありませんでした。
いつしか、本当にいいものを作ろう。それは人のためになるもの。ユーザーのみならず、製作にかかわる人にさえもためになるものを目指し、イスタンブール郊外に会社ギョンを立ち上げました。
ギョンとは革のこと。人に優しく、人々を幸せにする手段として、会社を再興。以前味わった苦くも豊かな経験から、決して商売収益を最優先することではなく、人のためになることを目的に会社の活動を続けるに至ったのです。
日本にも、こういった考えの職人さんがいますね。
最近、都内を街歩きしていると、稀にそんな店に出逢ったりします。
結構、いいお値段なのですが、一点物で物がしっかりしているので、それこそ一生もの。使えば使うほど味わいが出て、それがまた良いのですね。
是非、頑張って欲しいものです。
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り国内で出会う職人さんも素晴らしい方、まだまだいらっしゃいますよね。そして、国境など関係なく、共通するよい何かを感じます。
このシリーズでは、人との出会いを“もの”を通して表現できてたらいいなと。言葉の語彙の足りない部分もあるかと思いますが、誠実に続けたいと思っております。